kaju×ga9 自閉症のアーティスト

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 kaju×ga9。不思議な名前ですが、2人の男子高校生のニックネームです。kaju=カジュ、ga9=ガクと読みます。2人は自閉症です。2人が描くイラスト入りの雑貨を作って販売している、カジュ母さんとガク母さんに、話を聞きました。

 上の写真のブローチとバッグ。カジュさんとガクさんが描いたイラストをプリントして、カジュ母さんとガク母さんが手作りしました。かわいくてステキな、オリジナル雑貨です。

イベント出店時の様子

イベント出店時の様子

「自閉症」とは

 カジュさんとガクさんは、特別支援学校高等部の3年生。
 自閉症は、正確には「自閉症スペクトラム」といい、「臨機応変な対人関係が苦手で、こだわりが強い」、発達障がいの一種。興味がある分野には、並外れた才能を発揮することもあります。もちろん、10人いれば10人みんな「個性」は違います。
 カジュさんとガクさんは、言葉での意思疎通は難しいけれど、幼い頃から絵を描くのが大好き。描くのは人を楽しくさせる、小粋なセンスが光るイラストたちです。

「kaju×ga9」の店

 カジュ母さんとガク母さんは、2人のイラストを多くの人に見てもらおう、使ってもらおうと、自ら小物を作り、手売りしてきました。プリントTシャツは、知る人ぞ知る人気商品です。
 「kaju×ga9」として「こまき城見市」やお祭りなどのイベントで販売するようになったのは、1年半ほど前から。40近いアイテムがありますが、すべて手作りのため、品切れになることもあります。
 カジュ母さんとガク母さんの出会いは、15年ほど前。就学前の心身の発達に遅れがある子どもが通う「あさひ学園」で。子育ての悩みも喜びも、分かち合ってきました。
 仕事に家事、人一倍たいへんな子育ての合間に小物作り。寝る間もないはずなのに、元気ではつらつと輝く笑顔には、子どもを守るために奮闘してきた母の、本物のたくましさを感じます。

くまモンを描くガクさん。集中してます

くまモンを描くガクさん。集中してます

自立できる場所を

 夢は、カジュさんガクさんの自立を助ける工房作り。絵や手芸、工芸など得意分野を生かせる作業所は、まだまだ少ないのです。いつか「障がい」を超えて「作品」が認められ、子どもたちが生きていけるように。
 「やりたいことは、いっぱいある。ネット販売も」とのこと。自閉症であることを個性としていい方向に生かせるように、まずは、今できることを一歩ずつです。
 ガク母さんは、「自閉症のga9さんとともにHappy♥ Life」というブログで、ありのままの日常をゆる~く綴っています。思わず笑えて、大好評。ぜひ、のぞいてみてください。

「障害者差別解消法」って知ってる?

 この4月から施行された法律で、役所や会社、店が、障がいがある人に「不当な差別的取扱い」をすることを禁止しています。障がい者であることを理由に入店を拒否したり、車いすの本人を無視して介助者のみに話しかけることも、差別となり禁止されています。
 障がいのあるなしにかかわらず、すべての人が生きやすい社会であることを願います。

編集後記
 「保育園の頃は、10キロのわが子を毎日背負って通ったわ~」「最近は調子が悪くて、ぜんぜん寝ないこともあるよ」「自閉症あるあるだよね」と、すごくしんどい子育ての話を、サラッと言ってのける二人。〝母は強し”とは、このことです。脱帽!

今回の取材先
kaju×ga9
ブログ:http://ameblo.jp/mah3ga9

 「ga9」の雑貨は「大野時計メガネ店」(小牧3丁目276)、「米の萬節」(新町2丁目285)でも取り扱っています。
※本人のプライバシーを考慮し、匿名とさせていただきました